厚生労働省では、「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)」の結果を取りまとめ公表しています。労働安全衛生調査は、労働災害防止計画の重点施策を策定するための基礎資料とし、労働安全衛生行政運営の推進に資することを目的として、周期的にテーマを変えて調査を行っており、令和3年は事業所が行っている安全衛生管理、労働災害防止活動及びそこで働く労働者の仕事や職業生活における不安やストレス、受動喫煙等の実態について、常用労働者を10人以上雇用する民営事業所から無作為に抽出した約14,000事業所並びに当該事業所に雇用される常用労働者及び受け入れた派遣労働者から無作為に抽出した約18,000人を対象として調査を行ったものです。
調査結果のポイント
〔メンタルヘルス対策(注1)への取組状況〕<事業所調査>
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、労働者数50人以上の事業所で94.4%(令和2年調査92.8%)、労働者数30~49人の事業所で70.7%(同69.1%)、労働者数10~29人の事業所で49.6%(同53.5%)
〔化学物質のばく露防止対策への取組状況〕<事業所調査>
労働安全衛生法第57条の化学物質(注2)には該当しないが、危険有害性がある化学物質を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品の容器・包装にGHSラベル(注3)を表示している事業所の割合は69.9%(令和2年調査53.6%)
労働安全衛生法第57条の2の化学物質(注4)には該当しないが、危険有害性がある化学物質を製造又は譲渡・提供している事業所のうち、すべての製品に安全データシート(SDS)を交付している事業所の割合は77.9%(同62.2%)
〔高年齢労働者に対する労働災害防止対策への取組状況〕<事業所調査>
60歳以上の高年齢労働者が従事している事業所のうち、高齢者への労働災害防止対策に取り組んでいる事業所の割合は78.0%(令和2年調査81.4%)で、本人の身体機能、体力等に応じ、従事する業務、就業場所等を変更している事業所の割合は41.4%(同45.7%)
〔仕事や職業生活に関する強いストレス〕<個人調査>
現在の仕事や職業生活に強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は53.3%(令和2年調査54.2%)、その内容は「仕事の量」が43.2%(同42.5%)と最も多い
(注1)事業所において事業者が講ずるように努めるべき労働者の心の健康の保持増進のための措置をいう(労働安全衛生法第70条の2、労働者の心の健康の保持増進のための指針)。
(注2)譲渡・提供者に容器等に危険有害性を表示することが義務付けられている化学物質をいい、エチルベンゼン、クロム酸等674物質が指定されている。
(注3)GHSとは、The Globally Harmonized System of Classification and Labellingof Chemicals の略で、化学品を世界的に統一されたルールに従って危険有害性ごとに分類する基準のことをいう。この基準により分類(GHS分類)し、その情報を一目で分かるようにしたラベルの表示をGHSラベルという。
(注4)譲渡・提供者にその物の危険有害性の程度や適切な取扱方法等に関する情報を記載した安全データシート(SDS)の交付が義務付けられている化学物質をいい、第57条該当物質と同じであるが、裾切値(含有量)により義務の対象となる化学物質が異なる。また、安全データシート(SDS)とは、Safety Data Sheetの略で、化学物質の危険有害性や適切な取り扱い方法に関する情報等を記載した文書をいう。
厚生労働省