男性の育児休業の取得率 過去最高の13.97%

2022.08.29

厚生労働省から、「令和3年度雇用均等基本調査」の結果が公表されました。この調査は、男女の均等な取扱いや仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把握を目的として実施されているものです。令和3年度においては、全国の企業と事業所を対象に、管理職に占める女性割合や、育児休業制度の利用状況などについて、令和3年10月1日現在の状況が調査されました。

ポイントは次のとおりです。

【企業調査のポイント】

●女性管理職を有する企業割合

課長相当職以上の女性管理職(役員を含む。以下同じ。)を有する企業割合は53.2%(令和2年度52.8%)、係長相当職以上の女性管理職を有する企業割合は61.1%(同61.1%)で、また、女性管理職を有する企業割合を役職別にみると、部長相当職ありの企業は12.1%(同13.1%)、課長相当職は20.1%(同20.8%)、係長相当職は21.0%(同22.6%)となっている。

規模別にみると、規模が大きくなるほど、各管理職の女性を有する企業割合が高くなる傾向にあり、5,000人以上規模では、部長相当職の女性管理職を有する企業が78.7%、課長相当職の女性管理職を有する企業が86.0%、1,000~4,999人規模では、部長相当職の女性管理職を有する企業が44.0%、課長相当職の女性管理職を有する企業が81.7%となっている

●管理職に占める女性の割合

課長相当職以上の、管理職に占める女性の割合(以下、「女性管理職割合」という。)は12.3%と、前回調査(令和2年度12.4%)より0.1ポイント低下、係長相当職以上の、女性管理職割合は14.5%と、前回調査(同14.6%)より0.1ポイント低下した。
それぞれの役職に占める女性管理職割合は、役員では21.4%(同20.3%)、部長相当職では7.8%(同8.4%)、課長相当職では10.7%(同10.8%)、係長相当職では18.8%(同18.7%)となっている。

【事業所調査のポイント】

育児・介護休業制度等に関する事項
1 育児休業制度
(1)育児休業制度の規定状況

育児休業制度の規定がある事業所の割合は、事業所規模5人以上では79.6%と、前回調査(令和元年度79.1%)より0.5ポイント上昇した。産業別にみると、複合サービス事業(98.5%)、金融業,保険業(95.4%)、電気・ガス・熱供給・水道業(94.2%)、不動産業,物品賃貸業(89.3%)で規定がある事業所の割合が高くなっている。
規模別にみると、500人以上で99.9%、100~499人で99.4%、30~99人で93.7%、5~29人で75.1%と、規模が大きくなるほど規定がある事業所の割合は高くなっている。

(2)育児休業制度の内容

育児休業制度の規定がある事業所において、子が何歳になるまで育児休業を取得できるかについてみると、「2歳(法定どおり)」が60.5%(令和元年度56.7%)と最も高くなっており、次いで「2歳未満」28.4%(同33.0%)、「2歳を超え3歳未満」7.8%(同7.5%)の順となっている。

(3)育児休業中及び休業後の労働条件等の取扱い

ア:育児休業の申出方法
育児休業の申出方法について「書面で申出」とする事業所は76.4%(平成24年度79.9%)、「口頭のみで申出」とする事業所は16.6%(同17.6%)、「電子メールやFAXで申出」とする事業所は3.9%(同0.8%)となっている。

イ:育児休業申出者に対する、育児休業期間等の通知方法
育児休業申出者に対する育児休業期間等の通知方法について「書面を交付」し通知する事業所は70.8%(平成24年度70.6%)、「口頭のみで伝達」する事業所は17.2%(同21.2%)、「電子メールやFAXで通知」する事業所は5.3%(同1.5%)、「その他の方法で通知」する事業所は2.5%(同2.1%)となっており、「通知しない」事業所は4.2%(同4.5%)となっている。

ウ育児休業取得者に対する、休業中及び休業後の労働条件の通知
育児休業者に対する休業中及び休業後の労働条件について、「書面を交付」し通知する事業所は64.3%(平成24年度59.6%)、「口頭のみで伝達」し通知する事業所は20.2%(同24.9%)、「電子メールやFAXで通知」する事業所は4.6%(同1.6%)、「その他の方法で通知」する事業所は4.0%(同4.0%)となっており、「通知しない」事業所は7.0%(同9.4%)となっている。

エ育児休業取得者がいた際の雇用管理
育児休業取得者がいた際の雇用管理(複数回答)については、「代替要員の補充を行わず、同じ部門の他の社員で対応した」が79.9%(令和元年度52.3%)と最も高く、次いで「派遣労働者やアルバイトなどを代替要員として雇用した」15.0%(同37.2%)、「事業所内の他の部門又は他の事業所から人員を異動させた」14.6%(同25.2%)の順となっている。

(4)育児休業制度の利用状況

ア:育児休業者の有無別事業所割合
①女性
令和元年10月1日から令和2年9月30日までの1年間に、在職中に出産した女性がいた事業所に占める女性の育児休業者(上記の期間に出産した者のうち令和3年10月1日までの間に育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。))がいた事業所の割合は89.5%と、前回調査(令和2年度87.5%)より2.0ポイント上昇した。
また、女性の有期契約労働者についてみると、在職中に出産した女性の有期契約労働者がいた事業所のうち、育児休業者がいた事業所の割合は81.1%で、前回調査(同77.4%)より3.7ポイント上昇した。

②男性
令和元年10月1日から令和2年9月30日までの1年間に、配偶者が出産した男性がいた事業所に占める男性の育児休業者(上記の期間に配偶者が出産した者のうち令和3年10月1日までの間に育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。))がいた事業所の割合は18.9%と、前回調査(令和2年度15.8%)より3.1ポイント上昇した。
また、男性の有期契約労働者についてみると、育児休業者がいた事業所の割合は15.3%で、前回調査(同12.6%)より2.7ポイント上昇した。

イ:育児休業者割合
①女性
令和元年10月1日から令和2年9月30日までの1年間に在職中に出産した女性のうち、令和3年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合は85.1%と、前回調査(令和2年度81.6%)より3.5ポイント上昇した。
また、同期間内に出産した、有期契約労働者の育児休業取得率は68.6%で、前回調査(同62.5%)より6.1ポイント上昇した。

②男性
令和元年10月1日から令和2年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、令和3年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合は13.97%と、前回調査(令和2年度12.65%)より1.32ポイント上昇した。
また、同期間内において配偶者が出産した、有期契約労働者の育児休業取得率は14.21%で、前回調査(同11.81%)より2.40ポイント上昇した。

(5)育児休業終了後の復職状況

令和2年4月1日から令和3年3月31日までの1年間に育児休業を終了し、復職予定であった女性のうち、実際に復職した者の割合は93.1%(平成30年度89.5%)、退職した者の割合は6.9%(同10.5%)であった。男性については復職した者の割合は97.5%(同95.0%)、退職した者の割合は2.5%(同5.0%)であった。

(6)育児休業の取得期間

令和2年4月1日から令和3年3月31日までの1年間に育児休業を終了し、復職した女性の育児休業期間は、「12か月~18か月未満」が34.0%(平成30年度29.8%)と最も高く、次いで「10か月~12か月未満」が30.0%(同31.3%)、「18か月~24か月未満」11.1%(同4.8%)の順となっている。
一方、男性は「5日~2週間未満」が26.5%(平成30年度35.1%)と最も高く、次いで「5日未満」が25.0%(同36.3%)、「1か月~3か月未満」が24.5%(同11.9%)となっており、2週間未満が5割を超えている。

(7)パパ・ママ育休プラス※の利用状況

令和2年4月1日から令和3年3月31日までの1年間に育児休業を終了し、復職した女性労働者がいた事業所のうち、「パパ・ママ育休プラス」を利用して1歳を超えた時期まで育児休業を取得した者がいた事業所の割合は2.7%(平成27年度2.9%)であった。
また、女性の復職者のうち、パパ・ママ育休プラスの利用者割合は2.4%(同1.9%)であった。

令和2年4月1日から令和3年3月31日までの1年間に育児休業を終了し、復職した男性労働者がいた事業所のうち、「パパ・ママ育休プラス」を利用して1歳を超えた時期まで育児休業を取得した者がいた事業所の割合は0.7%(同5.1%)であった。
また、男性の復職者のうち、パパ・ママ育休プラスの利用者割合は1.8%(同3.0%)であった。

※「パパ・ママ育休プラス」とは、両親がともに育児休業を取得する場合に、育児休業の対象となる子の年齢について、「原則1歳まで」となるところを「原則1歳2か月まで」に延長する制度をいう。

(8)保育所に入所できないことによる育児休業の延長利用状況

令和2年4月1日から令和3年3月31日までの1年間に育児休業を終了し、復職した労働者がいた事業所のうち、保育所に入所できないために子が1歳を超えた時期まで育児休業を延長して取得した利用者がいた事業所の割合は、32.9%であった。
利用者がいた事業所のうち、子が1歳の時点で延長して育児休業を取得した者がいた事業所について、男女とも利用者がいた事業所は0.2%、女性のみ利用者がいた事業所は88.9%、子が1歳6ヶ月の時点で延長して育児休業を取得した者がいた事業所について、男女とも利用者がいた事業所は0.1%、女性のみ利用者がいた事業所は38.3%であった。

令和2年4月1日から令和3年3月31日までの1年間に育児休業を終了し、復職した労働者のうち、保育所に入所できないために子が1歳を超えた時期まで育児休業を延長して取得した利用者の割合は、子が1歳の時点で延長して育児休業を取得した者について、女性の利用者は23.0%、子が1歳6ヶ月の時点で延長して育児休業を取得した者について、女性の利用者は10.9%であった。

(9)男性の育児休業・育児目的休暇の取得率の公表状況

男性の育児休業・育児目的休暇の取得率を公表している事業所は15.8%となっている。
事業所規模別に見ると、500人以上の事業所で25.9%、100~499人の事業所で24.4%、30~99人の事業所で19.7%、5~29人の事業所で14.3%である。
公表している事業所のうち、育児休業のみを算定対象としている事業所は60.9%、育児休業と育児目的休暇の両方を対象としている事業所は37.7%である。

令和3年度雇用均等基本調査

厚生労働省

参考:令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&Aが更新

ワダ社会保険労務士事務所