2021年9月より、育休給付の被保険者期間の要件が変更されています

2022.01.14

育児休業給付金(育休手当と呼ぶ方もいますね)がギリギリもらえない!という方。給付金をもらえる条件が、働く人にとってより優しく改正されました。

育児休業給付とは

産後56日以後、育児休業を取得している期間中、給与が一定以上支払われなくなったときに、ハローワークに申請することで給付金を受け取れます。

給付金の支給額は、「育児休業開始時賃金月額証明書」をもとに、休業開始前6か月間の給与の総支給額を180日で割った額を休業を開始時点の賃金日額として算出します。

その後、以下の給付率を乗じて給付します。

【育児休業を開始してから180日まで】休業開始時点の賃金日額の67%

【育児休業を開始して180日以降】休業開始時点の賃金日額の50%

給付金は、子どもの1歳の誕生日の前々日まで受給することができ、1歳の誕生日に保育園に入れないなど、延長の要件を満たすときは、最大2歳の誕生日の前々日まで受給が可能です。

今までの育児休業給付の条件

出産する女性従業員のほとんどは、産前産後休業後に育児休業を取得します。

これまでは、雇用保険に加入して1年勤務した直後に産前産後休業を開始した従業員は、出産日のタイミングによっては育児休業給付の受給要件を満たさなくなるケースがありました。

例えばどんなケースかというと…少し複雑なケースなので、お急ぎの方は読み飛ばしてください。

以前の制度では要件を満たさなかった例

ある女性A子さんの就職~育休までの日付がこのような状況だったとします。

・就職日:R3年4月1日

・産前休業:R4年4月5日~

・出産日:R4年4月30日

・産後休業:~R4年6月25日

・育児休業:R4年6月26日~

育休開始日を起算として、育児休業開始日より前2年間に賃金支払基礎日数(出勤日、年次有給休暇など)が11日以上を満たす月が12か月以上あることが、今までの要件でした。

この時の月の数え方は、R4年6月は出勤0日、5月も0日・・・という数え方でなく、R4年5月26~6月25日は0日、4月26~5月25日も0日・・・と、育休開始日の前日から過去に遡って1か月ごとに区切ったひと月で数えます。

そうやってさかのぼっていくと、R3年4月26日~5月25日までで11か月あります。最後のR3年4月1日~4月25日は日数が1か月ないのですが11日以上出勤しているので1/2か月とカウントします。

結果、11と1/2か月となり、要件を満たしません。

雇用保険法施行規則の一部が改正

この不具合を解消するため、雇用保険法施行規則の一部が改正されました。

育児休業給付金の対象者は、雇用保険に加入している従業員です。

【改正後】

被保険者期間において現行の要件を満たさないときは、産前休業開始日等を起算として、産前休業開始日より前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上を満たす月が12か月以上ある場合には、育児休業給付の支給のための被保険者期間要件を満たすものとする。

改正後に先ほどのA子さんは要件を満たすのか

先ほど育休開始日の前日からカウントしたのと同じ方法で、産休開始日の前日から数えてみます。

R4年3月5日~4月4日がひと月目で1か月カウント・・・R3年4月5日~5日4日までで12か月となり、要件を満たしました!

いつから対象か

今回の改正は、2021年9月1日施行です。

2021年9月1日以降に育児休業を開始する人から、対象になります。

雇用保険に加入して1年勤務した直後に産前産後休業を開始した人で、9月1日以降に育児休業を開始した従業員について、現行の被保険者期間の要件を満たさないときは、改正後の要件を満たすか確認をしてください。

育児休業給付に関する被保険者期間の要件を一部変更します

厚生労働省

育児休業給付の手続

育児休業給付の手続の届出時には、育児休業を開始した時点での賃金日額を算出するための育児休業開始時賃金月額証明書を作成する必要があります。

今回、改正後の方法によって被保険者期間を確認するときは、休業開始時賃金月額証明書の④および⑦の「休業等を開始した日」欄に産前休業開始日等を記載してください。

それ以外の記載方法に変更はありません。

出産や育児による労働者の離職を防ぐため、育児休業を取得しやすい雇用環境整備など、さまざまな改正がおこなわれています。

今回改正される育児休業給付の受給要件については、出産日のタイミングで受給要件を満たさなくなるケースを解消するために設けられたものです。

9月1日以降に取得する育児休業取得者について、現行制度で被保険者期間が足りないときは、今回のカウント方法により期間確認をしてください。

参考:出生時育児休業ってなに?いつから?

ワダ社会保険労務士事務所