「せっかく採用した若手社員がなかなか定着しない」
「どう指導したらいいのか分からない」
「昔と同じような育て方では、うまくいかない気がする」
若手社員の採用や育成について、このような悩みを抱えている会社も多いのではないでしょうか。
経団連の調査では、若年社員の活躍推進にあたって「課題を感じている」とする企業の割合は9割を超えています。
そこで経団連は、2026年5月に「若年社員の活躍推進における5つの課題と対応策」という報告書を公表しました。
若手社員をめぐる「5つの課題」
この報告書では、企業が直面している課題を次の5つに整理しています。
① リアリティ・ショックの発生
② 成長機会・実感の減少
③ キャリア形成・パスのイメージしづらさ
④ コミュニケーションに関する認識ギャップと質的変化
⑤ 育成・マネジメントの行き詰まり
そして、それぞれについて具体的な対応策を示しています。
たとえば「リアリティ・ショック」とは、入社前に抱いていた会社や仕事のイメージと、実際に働き始めてからの現実とのギャップによって生じるものです。経団連は、こうしたギャップが早期離職につながる可能性があるとして、採用段階から企業の課題や負の側面も含め、ありのままの情報を提供することを対応策の一つとして挙げています。
「入社してから育てる」だけではなく、採用の段階から若手社員の定着・育成は始まっているということかもしれません。
「成長している」と感じられる環境をつくる
また、若手社員の「成長機会・実感の減少」も課題として挙げられています。
これに対しては、OJTや研修、自己啓発支援などを組み合わせた教育体系の整備だけでなく、それぞれの社員の経験や志向に合った成長機会を与えることなどが対応策として示されています。
会社としては一生懸命教えているつもりでも、本人が「自分は成長している」と感じられているとは限りません。
若手社員の育成を考えるときには、単に仕事を教えるだけでなく、本人が成長を実感できる機会をどうつくっていくかという視点も必要になりそうです。
コミュニケーションは「タテ」だけではない
もう一つ興味深いのが、コミュニケーションについての考え方です。
報告書では、上司と部下という「タテ」の関係だけではなく、若手社員同士などの「ヨコ」、メンターなどによる「ナナメ」も含め、多方向からコミュニケーションを活性化させることが対応策として挙げられています。
若手社員の育成を直属の上司一人に任せてしまうのではなく、職場全体でいろいろな人が関わっていくという考え方です。
これは若手社員だけでなく、育成を担当する上司・管理職の負担を考えるうえでも大切な視点ではないでしょうか。
実際、報告書では「育成・マネジメントの行き詰まり」も5つの課題の一つとされ、上司や管理職への支援・サポートも対応策として示されています。
大切なのは「3つのきょういく」
こうしたさまざまな課題と対応策を踏まえ、報告書では、若年社員のさらなる活躍推進に向けて最も大切なことを**「人材育成の充実」**としています。
そして、そのあり方を3つの「きょういく」というキーワードで整理しています。
「共育」
一方通行の教育ではなく、教える側も学ぶ。
「協育」
直属の上司だけではなく、組織全体で育成に関わる。
「響育」
一人ひとりに合った、心に響く育成を考え、実施する。
若手社員の価値観や考え方をひとくくりにして、「最近の若い人はこうだから」と考えるのではなく、一人ひとりを見ながら育てていく。そして、育てる側も一緒に学び、上司だけに任せず会社全体で関わっていく。
そんな育成のあり方が求められているのかもしれません。
若手社員の育成に「これが正解」という一つの方法があるわけではありませんが、まずは自社の育成方法について、「共育」「協育」「響育」の3つの視点から振り返ってみるのもよいのではないでしょうか。
経団連の報告書では、5つの課題への対応策のほか、13社の企業事例も紹介されています。
若手社員の採用や定着、育成に悩んでいる会社にとって、自社の人材育成を見直す一つのきっかけになりそうです。


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