「フェムテック」という言葉を聞いたことはありますか?
フェムテック(Femtech)とは、Female(女性)とTechnology(技術)を組み合わせた言葉で、月経、不妊、妊娠・出産、更年期など、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービスなどを指します。
2026年5月、経済産業省から「企業・自治体等向け 女性の健康課題の解決に向けたフェムテック導入ガイダンス」が公表されました。
経済産業省では、働く女性が妊娠・出産などのライフイベントと仕事を両立し、女性特有の健康課題に適切に対応できる環境を整えるため、2021年度から2025年度までの5年間で、フェムテック等の製品・サービスを活用した79件の実証事業を行ってきました。
今回のガイダンスは、その成果を踏まえ、企業などが実際にフェムテックを導入する際の考え方や進め方、事例などをまとめたものです。
女性の健康課題は、職場とも無関係ではありません
月経、不妊、妊娠・出産、更年期など、女性にはライフステージによってさまざまな健康課題があります。
もちろん、健康に関することは非常に個人的な問題でもあります。
一方で、体調の変化によって仕事との両立が難しくなったり、十分に能力を発揮できなかったりすることがあれば、働く本人だけではなく、職場にとっても考えるべきテーマになってきます。
経済産業省も、女性特有の健康課題やライフイベントに伴う体調の変化を、女性が十分に活躍することを難しくしている要因の一つとして挙げています。
そこで、その対応策の一つとして注目されているのが「フェムテック」です。
フェムテックにはどんなものがある?
「テクノロジー」と聞くと、少し難しいものを想像するかもしれません。
しかし、経済産業省がこれまで行ってきた実証事業を見ると、対象となる分野はかなり幅広く、月経・PMS、妊娠・不妊、産後ケア、更年期、婦人科疾患、ヘルスリテラシーなど、さまざまな女性の健康課題を対象とした取組みが行われています。
今回のガイダンスでは、こうした健康課題に応じたフェムテック製品・サービスの例だけでなく、実際に組織内へ導入する際のステップや導入事例なども紹介されています。
大切なのは「フェムテックを導入すること」ではない
このガイダンスで特に興味深いのは、とにかくフェムテックを導入すればよい、としているわけではないところです。
導入に向けたステップを説明する中では、「フェムテックありき」にせず、より広く検討することが示されています。
フェムテックだけを見るのではなく、人事制度の見直しや既存の福利厚生サービスの活用など、女性活躍につながる施策全体を見渡したうえで、その中にフェムテックをどう位置づけるかを考えるという考え方です。
これは、会社が女性の健康課題について考える際にも大切な視点ではないでしょうか。
新しいサービスを導入すること自体が目的なのではなく、
「自社では、女性社員がどんなところに働きづらさを感じているのか」
「今ある制度や職場環境で改善できることはないか」
「そのうえで、どのような支援があれば働きやすくなるのか」
と考えていくことが出発点になります。
「女性だけの問題」にしない職場づくり
女性特有の健康課題というと、どうしても「女性本人の問題」と考えてしまいがちです。
しかし、経済産業省では、フェムテックの活用を通じて、これまで個人の問題として語られにくかった健康課題を、社会全体で理解し支え合うものとして捉え直し、ライフイベントと仕事の両立や、誰もが働きやすい環境づくりにつなげていくことを掲げています。
会社としてできることも、フェムテック製品やサービスの導入だけとは限りません。
今回のガイダンスをきっかけに、人事制度、福利厚生、職場環境なども含めて、「女性が働き続けやすい会社になっているか」を一度振り返ってみるのもよいのではないでしょうか。
女性の健康課題への対応を考えることは、特定の社員だけを特別扱いするという話ではなく、一人ひとりがそれぞれの事情を抱えながらも働き続け、能力を発揮できる職場をどうつくっていくかを考えることにつながります。
まずは自社でどのような課題があるのかを知るところから、始めてみてもよいかもしれません。


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