はじめに
皆さんは、就業規則と労働契約の関係についてご存知でしょうか?
実は、就業規則で定められている労働条件よりも低い条件で労働契約を結ぶことは、無効となる可能性があります。
今回は、労働契約法12条に基づき、就業規則違反の労働契約について解説します。
労働契約法12条とは
労働契約法第12条では、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。」と規定されています。
ポイント
就業規則で定められている基準よりも低い労働条件で結ばれた労働契約は無効となります。 無効となった部分は、就業規則で定められている基準に引き上げられます。
就業規則とは
就業規則とは、労働者が就業上遵守すべき規律および労働条件に関する具体的細目について定めた規則類の総称です。
労働契約法第89条では常時10人以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成を義務付けていますが、労働契約法第12条でいう「就業規則」には、労働契約法89条では作成が義務付けられていない就業規則も含まれます。
労働契約法12条の適用例
例1: 就業規則で定められた賃金よりも低い賃金で契約した場合
就業規則で定められた賃金が1時間1,000円なのに、労働契約書では1時間900円と定められていた場合、この900円という部分は無効となり、1,000円となります。
例2: 就業規則で定められている休憩時間を無視した契約をした場合
就業規則で1時間の休憩時間が定められているのに、労働契約書では30分しか休憩時間がないと定められていた場合、この30分という部分は無効となり、1時間となります。(所定労働日数や賃金形態により例外あり)
まとめ
就業規則違反の労働契約は、労働者にとって不利益なだけでなく、会社にとっても労働者の権利を守るために重要な問題です。労働条件に関するトラブルが発生した場合は、社労士などに相談することをおすすめします。
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