育児・介護と仕事を両立させたい、職場の仲間の両立を応援したい。
そう思っていても今までなかなか実現しにくいのが現状でしたが、支援がどんどん充実してきています。
育児・介護休業法、雇用保険法の一部が改正
2022年4月1日、育児・介護休業法、雇用保険法の一部が改正されます。
改正後は、有期契約労働者の育児休業・介護休業を取得するための要件の一部が削除され、有期契約労働者は休業が取得しやすくなります。
休業を取得することで、育児休業給付金や介護休業給付金の申請も可能になり、休業中も安心して過ごせます。
育児休業給付金、介護休業給付金とは
育児休業給付金、介護休業給付金をもらうには、雇用保険に一定期間以上加入していることが要件になります。
雇用保険に加入に加入している月が、休業を開始した日から前2年間の間で、出勤(賃金の支払がある日)が11日以上ある月が通算12か月以上あるときに給付金を受給できます。
厚生労働省
育児休業とは
育児休業とは、子どもの1歳の誕生日の前日まで取得できる、法令等で定められた休業です。子どもが認可保育所に入所できないなどの理由があるときは、最大2歳の誕生日の前日まで育児休業を取得できます。
育児休業中は、企業と従業員の社会保険料(厚生年金・健康保険)が免除になります。
最大子どもが3歳になるまで受けられます。
※協会けんぽ以外の健康保険は、免除がないところがあります。詳細は加入されている健康保険へお問合せください。
※原則、育児休業は子どもが1歳に達する(誕生日の前日)までですが、制度によって子どもの上限年齢が異なります。
育児・介護休業法、雇用保険法 上限年齢:2歳
以下のいずれかに該当するときは最大2歳まで延長できます。
1 1歳の誕生日に認可保育所に入所する申込みをしていたが入所できなかった
2 育児休業明けに子どもの養育を予定していた配偶者が死亡した
3 育児休業明けに子どもの養育を予定した配偶者と離婚(別居)した
4 育児休業明けに子どもの養育を予定していた人が病気などで養育が難しくなった
社会保険(厚生年金保険法、健康保険法) 上限年齢:3歳
以下のいずれかに該当するときは最大3歳になるまで延長できます。
1 保育所に入所ができないなど特別な事情があるとき
2 企業の制度で、3歳に達するまでの子を養育するための育児休業を認めているとき
有期契約労働者の育児休業
これまで、有期契約労働者が育児休業を取得するときは、一定の要件を満たさないと取得できませんでした。その要件を1つ削除することで育児休業が取得しやすくなります。
出産・育児を理由とした離職を防ぎ、仕事と育児を両立できるようにすることが改正の目的です。
有期契約労働者が育児休業を取得するための要件
改正前:
1 雇用されて1年以上であること
2 子どもが1歳6か月になる日の前日まで雇用契約が継続することが明らかであること(雇用契約が更新されるときは、更新後の期間を含む)
改正後:2022年4月1日以降(改正後は、改正前の要件「1」が削除されます。)
1 子どもが1歳6か月になる日の前日まで雇用契約が継続することが明らかであること(雇用契約が更新されるときは、更新後の期間を含む)
介護休業とは
介護休業とは、要介護状態や精神に関する障害を持つ人を、2週間以上にわたって常時介護をしなければならない状態になった従業員が取得するための休業です。休業期間は、要介護状態の家族1人あたり3回まで、通算93日まで取得できます。
有期契約労働者の介護休業
介護休業中は、社会保険料(厚生年金・健康保険)の免除はありません。したがって、介護休業中は、働いていたときと同じように社会保険料が発生します。
有期契約労働者が介護休業の取得をするときは、一定の要件を満たさないと取得できませんでした。その要件を1つ削除することで介護休業が取得しやすくなります。
介護を理由とした離職を防ぎ、仕事と介護を両立できるように改正が行われます。
有期契約労働者が介護休業を取得するための要件
改正前:
1 雇用されて1年以上であること
2 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を超えて雇用契約が継続することが明らかであること(雇用契約が更新されるときは、更新後の期間を含む)
改正後:2022年4月1日以降(改正後は、改正前の要件「1」が削除されます。)
1 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を超えて雇用契約が継続することが明らかであること(雇用契約が更新されるときは、更新後の期間を含む)
労使協定との関係
現在、法令等では、労使協定があれば、以下の従業員について育児休業・介護休業の対象から除外することができるとなっています。
1 入社1年未満の従業員
2 申出の日から1年(介護休業は93日)以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
3 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
この労使協定は、有期契約労働者だけではなく、正社員のような無期契約労働者も該当し、法改正後も有効とされています。
今回の改正によって、有期契約労働者の育児休業・介護休業の取得要件だった「雇用されて1年以上であること」はなくなりますが、現在、労使協定を締結している企業については、結果として、対象者の要件はかわりません。
また、労使協定を締結していない企業については、企業と従業員代表者が労使協定を締結すれば、削除された内容を会社ルールとして残すことができます。
その場合は、有期契約労働者だけではなく、正社員、契約社員、パートなどの雇用形態(日々雇用される従業員を除く)にかかわらず、雇用して1年未満の従業員の育児休業・介護休業の申出を拒むことになります。
従業員にとっては育児休業・介護休業の取得要件に制限がかかりますので、慎重に検討しましょう。
4月1日までに何をすればいいのか
以下のような準備をしておきましょう。
・就業規則の変更
・対象になる有期契約労働者の確認
・従業員への周知の方法
・休業を取得した従業員へのハラスメントの予防
・役職者、労務担当者への改正の研修
ワダ社会保険労務士事務所
参考:出生時育児休業
ワダ社会保険労務士事務所
参考:子の看護休暇
ワダ社会保険労務士事務所